愛知県の電気工事会社「トーカイテック」が、TikTokに投稿した動画をきっかけに大炎上しました。
「頭大丈夫か?」「新幹線、大丈夫?」といった声がネット上に続々と広がり、動画を紹介したXのポストには数百万単位の表示回数がつくほどの大きな騒ぎになりました。
トーカイテックってそもそもどんな会社なのか、動画の何がそんなに問題だったのか、そしてなんでこんな動画をアップしてしまったのか——。
気になってあれこれ調べてみたら、ただの炎上騒ぎでは済まない、会社の今後にも関わる話が見えてきました。
いろんな角度からまとめてみましたので、一緒に見ていきましょう。
トーカイテックのTikTok動画が炎上した経緯
まずは今回の炎上がどういう流れで起きたのか、整理しておきますね。
2026年6月13日に公式TikTokへ動画を投稿。翌14日には非公開にしたものの、6月23日頃からXで一気に拡散し炎上しました。
2026年6月13日に、トーカイテック株式会社の公式TikTokアカウントに、自社の訓練施設で撮影された約19秒の動画が投稿されました。
動画の内容は、電柱や架線を模した高所の訓練設備の上に複数の作業員が集まり、ポーズを取っている様子。
ヘルメットとフルハーネス(墜落制止用器具)はきちんと装着しており、画面には「高所のため 墜落制止用器具をしっかり使用しています」というテロップも表示されていました。
ただ、この動画がSNSで広まり始めたのは少し後。
6月23日頃からXで大きく拡散され始め、「頭大丈夫か?」「新幹線を任せられる会社なの?」という声が続々と集まるように。
会社側は6月14日には動画を非公開にしていたのですが、その頃にはもう遅かった、という感じでしょうか。
そもそもトーカイテックはどんな会社?新幹線を支える専門集団だった
炎上の話の前に、まずトーカイテックがどんな会社なのか、ちょっと確認しておきたいと思います。
「電気工事会社ってよくあるよね」と思ったあなた、この会社はちょっと特殊なんですよ。
開業60年以上「死亡事故ゼロ」を電気工事で支える仕事
トーカイテックは、東海道新幹線(名古屋〜新大阪間)の電気設備メンテナンスを専門とする会社です。JR東海の協力会社として、新幹線の安全を電気設備の面で支えています。
トーカイテック株式会社が手がける仕事は、東海道新幹線の電気設備のメンテナンスと改良工事です。
具体的には、名古屋駅から新大阪駅の区間にある、線路上空の電気設備、つまりトロリ線や電柱、金具類などを維持管理しています。
東海道新幹線といえば、開業から60年以上が経つ今も「乗客が死亡する列車事故ゼロ、ダイヤの遅延もほぼゼロ」という世界に誇る安全記録を継続しています。
その安全を電気設備の面で支えているのが、このトーカイテックというわけです。
主な取引先はJR東海をはじめ、新生テクノス・名工建設・ジェイアール東海建設株式会社など。
2005年からはJR東海から直接受注も行っており、新幹線という超シビアな現場で認められてきた実績があります。
従業員27名・JR東海の協力会社という立ち位置
会社の規模感もお伝えしておきますね。
- 所在地:愛知県一宮市小信中島(本社)、一宮営業所、滋賀県米原市の米原営業所の3拠点
- 創業:1987年4月
- 設立:1992年3月
- 資本金:1,000万円
- 従業員:27名(2025年7月時点)
- 代表取締役:永尾秀樹さん
従業員27名というのは、決して大きな会社ではありません。
でも、JR東海直受注という看板を持ち、危険物取扱者22名・玉掛け25名・高所作業車16名など、豊富な資格保有者を擁する技術力のある専門集団です。
小さいからといって、やっている仕事の規模や責任は決して小さくない。そこがポイントなんですよ。
炎上した動画の中身は?「夜の踊り子」ミームに乗ったのが裏目に
では、具体的に動画の何が問題だったのか。
実はここ、ただ「危ないことをした」という話ではなくて、もう少し複雑な背景があります。
装備はしっかり、でも一般人には「ふざけてる」に見えた
動画はルール違反ではなかった——安全装備は着用済みで、訓練施設での撮影。問題は「外部から見てどう映るか」という視点が欠けていた点にあります。
動画に映った作業員の皆さんは、ヘルメットとフルハーネスをちゃんと着けていました。
会社の公式説明でも「撮影時には墜落制止用器具を着用し、安全管理のもとで実施しております」とされています。
つまり、安全のルールそのものは守っていた。
では何が問題だったかというと、高所設備の上で密集して腕を大きく上げる動作が「ふざけているようにしか見えなかった」という点です。
しかも、この動きがSNSで大バズり中の「夜の踊り子」ダンスと指摘されてからが一気に火がついた感じ。
「夜の踊り子」というのは、サカナクションが2012年に出した楽曲で、2026年に入ってから海外発のミーム動画をきっかけに再ブレイクし、社会現象レベルで流行していたんですよね。
インドネシアの伝統的なボートレースで船首に立って踊る少年の映像に、この曲を合わせた動画が世界中で拡散した、というのが元ネタです。
その大流行のダンスをやってみた動画に見えてしまったわけで、それが高所の電気設備の上というシチュエーションと組み合わさって、一般の人の目には「安全意識ゼロの集団」に映ってしまった——というのが正直なところだと思います。
「頭大丈夫か?」評判やネットの反応をまとめてみた
Xを中心に、本当にたくさんの声が集まりました。
賛否ありましたので、両方ご紹介しますね。
批判の声
批判的な意見の多くは、安全意識への疑念でした。
「世間一般の感覚と大手インフラ企業の安全管理意識はレベチ」「業界的に論外中の論外」「企業によっては月1回・2週間に1回の安全協議会を開いているほど厳格なのに、これを大丈夫だと思う人は大手インフラに関わらない方がいい」。
インフラ関係のお仕事をされている方からの怒りの声は、かなり多かった印象です。
また「取引先がJR東海と知って、さらにヤバさを感じた」という反応も目立ちました。
「電気工事1種取ってるなら、高所での振る舞いをわきまえてないわけがない」という声も。
安全のプロのはずなのに、という失望感が根っこにあったのかなと思います。
「訓練施設だからいいのでは」という擁護の声
一方で、こんな声もありました。
「自社の訓練施設で安全対策をきちんとやってるんだから、何が問題なの?」「素人が専門職の動画に口を出しすぎでは?」。
「訓練だと明記してあるし、フルハーネスも着けてる。フルタイムでリスク管理できてる人が批判なら分かるが、一般人が騒ぎすぎでは?」という意見も一定数見られました。
この議論、どちらも完全に間違ってはいないんですよね。
「訓練施設で安全装備をして撮影した」という事実は本当のことです。
でも「一般の人が見て、どう見えるか」という外部視点の検証が足りなかった——それが今回のすれ違いの正体だったかなと、私は思っています。
なんでこんな動画を撮ってアップした?背景を考えてみる
ここが、私が一番「う〜ん」と唸ったところなんですよ(正直な感想)。
TikTokアカウントの開設時期は「2025年6月ごろと見られています」。公式発表ではなく推測情報のため、参考程度にとらえてください。
トーカイテックがTikTokアカウントを開設したのは2025年6月ごろと見られています。
目的は若手採用と社内の雰囲気のアピール。
電気工事の専門会社が若い人たちに会社を知ってもらおうとSNSを始める。それ自体はとても自然な話だし、むしろ積極的な取り組みですよね。
従業員27名の小規模専門会社が、採用サイトに載せるだけでは届かない層にリーチしようとした戦略は、決して的外れではない。
流行りのダンスミームに乗るのも、TikTokでの採用コンテンツとしては「正攻法のひとつ」とも言えます。
でも、そこで私がどうしても気になってしまうのは——。
「これを公開する前に、社内の誰かが一度立ち止まらなかったのかな?」という疑問なんですよね。
新幹線の電気設備を扱う会社。
高所作業の安全が社会的にどれほど神経質に見られているか、感覚として持っている人が社内にいたはずなんです。
「これをアップしたら批判が出るかもしれない」って気づける人が、一人もいなかったのか。
それとも気づいてはいたけど、「大丈夫だろう」と判断した?
TikTokで若い人に刺さるコンテンツを作りたいという気持ち、社員同士の楽しい雰囲気を伝えたいという思い。それは理解できます。
でも、「身内ウケ」と「外に出しても大丈夫か」は別の話なんですよ。
この動画は社内ではきっと面白かったんだと思う(汗)。
そのまま外に出してしまったのが、今回の根っこだった気がしています。
公式の対応は?6月14日に動画を非公開、25日に謝罪文を発表
炎上後も「沈黙したまま」という情報が広まっていましたが、実際には6月25日付で公式サイトに謝罪文が掲載されています。
炎上が広まってから「会社は沈黙したまま」という情報も広がっていたのですが、実際には公式の対応がちゃんとなされていました。
私が調べて確認したので、正確な情報をお伝えしておきますね。
時系列でまとめると、
- 2026年6月13日:TikTokに問題の動画を投稿
- 6月14日:動画を非公開に
- 6月23日頃:Xで拡散が本格化・炎上
- 6月25日:公式サイトに謝罪文を掲載
6月25日付でトーカイテック公式サイトに掲載された謝罪文には、こういった内容が書かれていました。
当該動画は、当社敷地内に設置した訓練設備において撮影したものであり、実際の鉄道設備で撮影したものではありません。また、撮影時には墜落制止用器具を着用し、安全管理のもとで実施しております
出典:トーカイテック株式会社 公式サイト
そして「安全に携わる企業として配慮が十分ではない発信となり、多くの皆様にご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます」という謝罪の言葉も。
炎上の拡散タイミングから見れば、謝罪文が出るまでに時間がかかったように見えてしまいましたが、実は動画の非公開化は炎上前夜に近い6月14日にすでに行っていました。
対応が「なかった」のではなく、炎上の波が謝罪文の発表を追い越してしまった、という感じに私には見えました。
同じ「トーカイテック」でも無関係の会社が誤爆される事態に
ここは私が調べていて気づいた、かなり大事なポイントです。
「トーカイテック」という社名の別会社が複数存在します。今回炎上したのは愛知県一宮市のトーカイテック株式会社で、同名の他社は全く無関係です。
今回の謝罪文には、こんな一文もありました。
一部SNS等において、当社とは関係のない同名企業様に対して誤解に基づくご指摘やコメントが寄せられていることを確認しております
出典:トーカイテック株式会社 公式サイト
実は「トーカイテック」という社名は、複数の別会社が存在するんです。
愛知県名古屋市の「株式会社トーカイテック」や、愛知県みよし市の「株式会社トーカイテック」など、今回炎上したトーカイテック株式会社(愛知県一宮市)とは全く別の会社です。
にもかかわらず、炎上の火の粉が無関係の同名企業にまで飛んでしまった——。
炎上が起きると「同名の別会社」が巻き込まれるケース、意外と多いんですよ。
SNSで怒りの矛先を向けるとき、「本当にその会社なのか」の確認が追いついていないことって、よくあるんですよね。
これは今回炎上したトーカイテック株式会社への批判とは別の話として、「SNSで叩く前にちゃんと確認しようね」という教訓を改めて感じた一件でもありました。
トーカイテックの今後はどうなる?BtoB企業ゆえの怖さ
炎上が一段落したとして、これから会社にどんな影響が出てくるのかも気になるところ。
BtoB専門会社の炎上は、一般消費者向け企業とは影響のルートが異なります。取引先や採用への信頼ダメージが、じわじわと長期間続く点が怖いんです。
ここは私の見立てをお伝えしますね。
一般消費者向けの商品を売っている会社が炎上するのと、BtoB(企業間取引)の専門会社が炎上するのとでは、影響のルートが違います。
トーカイテックの場合、主要取引先はJR東海をはじめとした鉄道・建設関連の法人です。
一般の人がSNSで怒っても、それが直接「不買運動」には繋がりにくい。
でも、取引先の担当者や発注部門の人がこのニュースを見たとき「説明を求めたい」「受注の扱いを再検討したい」という流れが生まれる可能性はゼロではありません。
特に「世界一の安全記録を持つ新幹線」の電気設備を任されているという立場は、信頼が何より優先される世界です。
その看板を傷つけるような印象を与えてしまったとすれば、ダメージは今後の採用活動にも及ぶでしょう。
27名という規模の会社にとって、「一動画で会社が傾く」とまでは言わないけれど、ネット検索に炎上情報が残り続けることの重さは、小さな会社ほど大きいものです。
一方で、公式サイトには謝罪文を掲載し、「今後はSNSでの発信内容についても十分な確認を行い、安全を最優先とした情報発信に努めてまいります」という再発防止の意思も明示されました。
この一件を教訓に、発信内容の社内チェック体制を整えた上で地道に実績を重ねていくことが、今後の信頼回復への道なんじゃないかな、と思っています。
まとめ
今回のトーカイテックの炎上について、まとめるとこんな感じです。
- トーカイテック株式会社は、東海道新幹線の電気設備メンテナンスを手がける愛知県一宮市の専門会社(従業員27名・JR東海協力会社)
- 2026年6月13日に訓練施設での動画をTikTokに投稿、6月14日に非公開化したが、6月23日頃からXで拡散が本格化
- 動画そのものはルール違反ではなかったが、「夜の踊り子」ダンスに見えてしまい「安全意識が低い会社」という印象を与えてしまった
- 批判と擁護の声の両方があったが、「外部視点での印象管理が足りなかった」という点は共通の教訓として残った
- 6月25日に公式サイトへ謝罪文を掲載し、再発防止を明言
- 同名の別会社への誤爆も起き、確認なしでSNSに批判を飛ばす問題も浮き彫りになった
私がこの件を調べて一番感じたのは、「会社を叩きたいわけじゃなくて、なんでアップする前に誰も止めなかったんだろう」というシンプルな疑問でした。
安全を最前線で守っているプロ集団であるからこそ、「外から見てどう映るか」の感覚も、仕事の安全管理と同じくらい大切にしてほしかった——それが正直な気持ちです。
今後のトーカイテックさんが、今回の件を糧に信頼を積み重ねていってくれることを願っています。


コメント