Netflixドラマ『ダウンタイム』の最終話、沼田文(松岡茉優さん)が「沼田美容外科」を開業したシーンに、胸がじんとした方も多いのではないでしょうか。
遠山新(渡部篤郎さん)の後継者になる道もあったのに、なぜ文は独立を選んだのか。
そして「遠山凜(仲里依紗さん)が遠山の名を捨てたから」という見方、実はちょっとだけ違うところがあるんです。
この記事では、文がクリニックを開業した理由と、「遠山」という名前をめぐる家族それぞれの決断を、順番に整理していきます。
沼田文がクリニックを開業した理由|遠山新の後継者にならなかった決断
結論から言ってしまいますね。
沼田文が「沼田美容外科」を開業した理由は、遠山新が用意した後継者の椅子を、自分の意思で断ったからなんです。
最終話で新は、文に「一緒にクリニックをやらないか」と持ちかけます。
でも文が選んだのは、新の傘の下に入ることじゃありませんでした。
母・沼田妙子が遺したスナックの跡地を、自分の手で改装して開業する道だったんです。
血のつながりよりも、自分自身の名前で医療と向き合うことを選んだ、というわけなんですよね。
「遠山」の名前を捨てたのは凜ではなく新だった?条件の真相
実はここ、私も最初「遠山凜が名前を手放したから、文が独立できたのかな」と思っていました。
でも調べていくと、順番がちょっと違うことが分かってきたんです。
沼田文が突きつけた「遠山の名前を使わない」という条件
第7話のラストでバイク事故に遭い、顔に大きな怪我を負って入院していた文。
実は新は第7話の時点で、自分が立ち上げる新しいクリニックに文を誘い、ゆくゆくは院長を任せたいとまで話していたんです。
そして最終話、入院中の文に、一緒にやってくれるのかと改めて問いかけます。
このとき文が出した条件が「遠山の名前を使わないこと」でした。
実父である新と向き合う中で、文なりのけじめのつけ方だったんだと思います。
権威やブランドに乗っかるのではなく、対等な立場で話をつけたい……そんな気持ちが伝わってくる場面でした。
遠山新が名前を手放した理由|東京開業の白紙撤回まで
新は、最終的にこの条件を受け入れます。
東京で予定していた新規開業の計画も、白紙に戻すことになりました。
新にとって「遠山」は、亡くなった母親から受け継いだ、特別な名前だったんですよね。
それでも手放すことを選んだのは、名前よりも文という「血」を、後継者として手に入れたい気持ちが勝ったからだと考えられます。
つまり「遠山」を実際に捨てたのは、凜ではなく新だった、というのがここまでの流れです。
凜はなぜ遠山クリニックを畳んだのか|名前を手放したもうひとつの理由
ここで気になるのが、じゃあ凜は何をしたの、というところですよね。
答えを言うと、凜は新とは別の理由で「遠山」を手放しているんです。
凜はかつて、遠山クリニック創設時のパトロンの孫娘・鴻池紗良を、手術ミスで失明させていました。
その事実をずっと隠し続けていたことを、最終話でようやく認めます。
そして自らの意思で、遠山クリニックを閉院する決断を下すんです。
紗良とも、秘密でお互いを縛り合う関係を終わらせようと向き合いました。
新が「条件を突きつけられて」名前を手放したのに対して、凜は誰に言われたわけでもなく、自分から看板を下ろしました。
私はここ、凜なりのけじめのつけ方だったんじゃないかと見ています。
父に隠し続けてきた過去と向き合ったからこそ、看板よりも自分の誠実さを選んだ……そう考えると、タイトルにある「凜が遠山の名を捨てた」という見方も、あながち的外れじゃないんですよね。
厳密には「名前の使用をやめた」のは新で、「クリニックそのものを畳んだ」のが凜、という役割分担になっているわけです。
沼田文と遠山新・凜の相関図|血の継承をめぐる父娘の確執
登場人物の関係が入り組んでいるので、ここで一度整理しておきますね。
沼田文は、幼いころに生き別れた父親が、実は遠山新だったという事実に途中で気づきます。
母・妙子からは、父親について「最低のヤブ医者」だったと聞かされていた、とも描かれています。
そんな悪い印象を抱えたまま、実の父と対峙することになったわけです。
一方の凜は、新の養女。
「神の手」の後継者として育てられながらも、父からの評価や期待に、ずっと苦しめられてきた存在でした。
新にとっての「遠山」は亡き母の形見。
凜にとっての「遠山」は、自分が父の娘である証明。
同じ名前でも、2人が背負っていた意味はまったく違っていたんです。
家族って、同じ名字を名乗っていても、それぞれ抱えているものは全然違うんだなと、この作品を見ていて考えさせられました。
ちなみに文のそばには、借金取りとして現れながら、いつしか家族のような存在になっていく槇原廉もいます。
槇原と文の関係については、こちらの記事で詳しく考察しているので、気になる方はあわせてどうぞ。
沼田美容外科の開業までの道のり|交通事故から独立へ
文が開業に至るまでには、大きな転機がありました。
それが第7話のラストで起きたバイク事故です。
実は文は、この事故の直前に、美容外科の世界から身を引く決意まで固めていたんですよね。
亡き母のスナック跡地を選んだ理由
事故によって顔に大きな損傷を負った文は、初めて「治される側」の恐怖を経験します。
そのとき「顔を治してほしい」と託した相手が、対立していたはずの凜でした。
空港から手術室へ駆けつける凜の姿、忘れられないですよね。
凜は文の手術を成功させ、文は無事に回復していきます。
退院後、文が選んだのは、亡き母・妙子が営んでいたスナックの跡地を改装するという道でした。
新のクリニックという、すでに出来上がった看板に乗るのではなく、母との思い出が残る場所から、自分の医療をゼロから始める。
私はこの選び方に、文らしさが一番出ていると感じました。
華やかな美容外科の世界に身を置きながらも、結局いちばん大切にしたのは、家族との記憶が刻まれた場所だったんですよね。
そしておよそ2年後、開業した文のもとへ、海外から帰国した凜が訪れます。
「小さなクリニックを2億円で買収する」なんて冗談を持ちかけるラストシーンは、かつて2人を縛っていた金額を、対等な関係のジョークに変えた瞬間として、印象に残った方も多いのではないでしょうか。
名前を手放すことが意味するもの|『ダウンタイム』が描いた本当のテーマ
タイトルの「ダウンタイム」は、もともと美容整形後の腫れや内出血が落ち着くまでの回復期間を指す言葉です。
この作品では、それが登場人物たちの心の回復期間としても描かれていました。
新は名前の使用を、凜はクリニックそのものを、そして文は父の後継者という立場を、それぞれ手放しています。
3人とも、何かを失ってはじめて、次の一歩を踏み出せた……そんな構造になっているんです。
ネット上では「遠山の名前を使わないという条件は建前で、本当は育児放棄した父への復讐だったのでは」という見方も出ているようです。
真相は本人の口から語られていないので、あくまで一つの見方として受け止めておきたいところですが、私自身は、復讐というよりも「自分の足で立ちたい」という思いのほうが強かったんじゃないかなと感じています。
だって、復讐だけが目的なら、母の思い出が残るスナック跡地を選ぶ必要、なかったはずですから。
まとめ
ここまで、沼田文がクリニックを開業した理由について、整理してきました。
最後に、分かったことをまとめておきますね。
- 文が開業した理由は、新の後継者という立場を自分の意思で断ったから
- 「遠山」の名前使用をやめたのは凜ではなく、実父の新
- 文が「遠山の名前を使わない」という条件を提示し、新がそれを受け入れた
- 凜は新とは別に、紗良への事故隠蔽を認め、自らの意思で遠山クリニックを閉院
- 「沼田美容外科」は、亡き母・妙子のスナック跡地を改装して開業された
- 新にとって「遠山」は母の形見、凜にとっては父の娘である証明という、それぞれ違う意味を持っていた
- ラストで凜が「2億円で買う」と持ちかけるシーンは、2人の対等な関係を象徴していた
「凜が遠山の名を捨てたから」という見方、半分正解で半分ちょっと違う、というのが今回調べてみての結論です。
でも、新も凜も文も、それぞれ違うタイミングで「遠山」という名前と向き合い、手放していきました。
そう考えると、この作品全体が「名前を手放す物語」だったんだな、としみじみ感じています。
沼田美容外科が、これからどんなクリニックになっていくのか。
続編があるなら、ぜひ見てみたいなと思っています。


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