福田雄一作品がつまらないのになぜ起用される?内輪ノリで寒いと言われても人気な5つの理由を深掘り

福田雄一作品がつまらないのになぜ起用される?内輪ノリで寒いと言われても人気な5つの理由を深掘り エンタメ

福田雄一さんの作品を見て、正直「つまらない……」と思ったこと、ありませんか?

映画のレビュー点数は低めなのに、気づけばまた新作の監督に決まっているんですよね。

2026年夏の『ケロロ軍曹』であれだけ批判を浴びたのに、11月には実写『マッシュル』の監督就任が発表されました。

しかもその翌日には、橋本環奈さん主演の新ドラマまで。

なぜ起用され続けるのか、内輪ノリが寒いと言われるのはなぜなのか。

興行収入の数字と現場の証言をもとに、それでも人気な5つの理由をとことん深掘りしていきます。

  1. 福田雄一作品がつまらないと言われるのはなぜ?よく聞く批判を整理
    1. 福田雄一のギャグは「またこのパターン」と飽きられやすい
    2. 原作ファンが怒るのは改変より「私物化」に見えるから
    3. 福田雄一作品はレビュー点数と興行収入がまったく噛み合わない
  2. 福田雄一の映画は本当にコケている?近年の興行収入と評価を検証
  3. ケロロ軍曹で大炎上しても福田雄一の仕事が減らない現実
    1. 舞台挨拶中止に公式謝罪まで起きた新劇場版の騒動
    2. 炎上後も福田雄一監督の新作発表が止まらない
  4. 福田雄一作品がつまらないのになぜ起用される?それでも人気な5つの理由
    1. 【理由1】福田雄一作品は興行収入の「底」が読めるから出資者が安心できる
    2. 【理由2】「福田雄一監督作品」の看板だけでニュースになる
    3. 【理由3】売れっ子俳優が出たがる福田組の現場とキャスティングの目利き
    4. 【理由4】ギャグ漫画の実写化という難題を引き受けられる監督が少ない
    5. 【理由5】脚本から現場まで一人で回せる福田雄一の使い勝手の良さ
  5. 福田組の内輪ノリはなぜ寒い?笑いを堪えて後ろを向くあの演出の正体
    1. ムロツヨシ・佐藤二朗・賀来賢人のアドリブ合戦が生まれる仕組み
    2. 現場の楽しさがそのまま映ると観客が置いていかれる
  6. マッシュルで福田雄一はどう出る?これからの起用と評価を予想
  7. まとめ

福田雄一作品がつまらないと言われるのはなぜ?よく聞く批判を整理

まずは「つまらない」と言われる中身を、ちゃんと分解しておきたいんです。

ひとことで「つまらない」と言っても、怒っている理由は人によってけっこう違うんですよ。

その前に、福田さんがどんな人かをざっくりおさらいしておきますね。

  • 名前:福田雄一(ふくだ ゆういち)
  • 生年月日:1968年7月12日
  • 年齢:58歳(2026年11月7日時点)
  • 出身地:栃木県小山市
  • 経歴:劇団ブラボーカンパニーの座長を務めながら放送作家として活動し、脚本家・映画監督へ
  • 代表作:『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『今日から俺は!!』、映画『銀魂』シリーズ など

放送作家時代には『笑っていいとも!』や『いきなり!黄金伝説』の構成を担当していたそうです。

この「バラエティ出身」という経歴が、実はこの記事全体のカギになってきます。

福田雄一のギャグは「またこのパターン」と飽きられやすい

いちばんよく聞くのが「ワンパターンで飽きた」という声です。

顔芸、ムロツヨシさんや佐藤二朗さんの長尺のアドリブ、急に素に戻るメタなセリフ。

初めて見たときは衝撃的に面白いんですよ、これが。

私も『勇者ヨシヒコ』を深夜にひとりで見ていて、声を殺して笑った夜があります。

でも何本も見ていると、だんだん「あ、このあと佐藤さんがしゃべり倒すな」と先が読めてしまうんですよね。

笑いは「予想を裏切られる」ことで起きるので、読めてしまった時点で破壊力は半減します。

実はこの心配、最近になって出てきた話ではありません。

2018年の『今日から俺は!!』がヒットしていた頃にも、演出が「クドイ」と一部で炎上していて、黄金パターンが自己模倣のマンネリに陥るのではという指摘があったそうです。

さらに最近では、ネットで「福田組疲れ」という言葉まで見かけるようになりました。

豪華俳優が集まること自体がブランドになり、同じメンバーでのセルフパロディが繰り返されることへの反動ではないか、という分析もあります。

つまり「つまらない」というより、「知ってる味になりすぎた」が近いのかもしれません。

原作ファンが怒るのは改変より「私物化」に見えるから

もうひとつ大きいのが、漫画やアニメの原作ファンからの反発です。

ただ、調べていて気づいたのは、ファンが怒るのは「原作と違う」ことそのものより、「監督の趣味に原作が使われている」と感じた瞬間なんですよね。

たとえば『銀魂』は、原作自体がパロディやメタネタだらけの作品です。

福田さんの作風と原作の空気が近かったので、多少アレンジしても「銀魂っぽい」と受け止めてもらえました。

反対に、原作のトーンと福田さんのノリが合わない作品だと、同じギャグが「原作を利用して自分の笑いをやっている」ように見えてしまいます。

ここが分かれ目なんだと思います。

改変されても、それが原作のための工夫なら許せる。

でも監督の過去作のキャラや常連俳優が前に出てくると、「これ、誰のための作品なん?」となってしまう。

この「私物化に見える問題」がいちばん分かりやすく爆発したのが、あとで詳しく書く『ケロロ軍曹』だったと私は見ています。

福田雄一作品はレビュー点数と興行収入がまったく噛み合わない

ここがいちばん不思議なところです。

2020年公開の『新解釈・三國志』は興行収入40.3億円の大ヒットでしたが、映画.comの点数は2.2点だったと報じられています。

40億円で、2.2点。

普通なら「低評価の映画は口コミで客が減る」はずなのに、福田作品ではその法則がほとんど働いていないんです。

映画ライターの話として、福田作品は好き嫌いが分かれるのでレビューサイトでは3点未満になることが多い、とも紹介されていました。

私はこのズレを、「レビューを書く人」と「映画館に行く人」が別の人たちだからだと考えています。

わざわざ点数をつけてレビューを書くのは、映画好きか原作好き、つまり作品にこだわりがある人が中心ですよね。

一方で福田作品の客席には、推しの俳優のはっちゃけた顔を見に来た人や、子どもと一緒に気軽に笑いに来た家族連れが多いはずです。

その人たちは「面白かったね」と言いながら帰って、レビューは書かない。

だから点数は低いのに劇場は埋まる、という現象が起きているのではないでしょうか。

「つまらない」の声がネットで大きく見えるのは、声を上げる人がそっち側に集中しているから、という面もあると思うんです。

福田雄一の映画は本当にコケている?近年の興行収入と評価を検証

「最近の福田作品はコケている」という印象、実際の数字で確かめてみました。

先に言ってしまうと、「大コケ」と呼べる作品はほとんど見当たらないんです。

主な監督作の興行収入を、公開順に並べるとこうなります。

作品名公開年興行収入補足
銀魂2017年38.4億円2017年公開の実写邦画で1位
今日から俺は!!劇場版2020年53.7億円2020年公開の実写映画でNo.1
新解釈・三國志2020年40.3億円映画.comは2.2点と報道
聖☆おにいさん THE MOVIE2024年7.8億円近年唯一の10億円割れとの報道
アンダーニンジャ2025年約15.9億円映画.comは2.9と報道
新解釈・幕末伝2025年10億円超劇場公開20作目
SAKAMOTO DAYS2026年24億円超公開26日間時点の数字
新劇場版☆ケロロ軍曹2026年約1.5億円公開3日間の数字(最終は未発表)

こうして並べると、流れがはっきり見えてきます。

邦画では興行収入10億円がヒットの目安と言われていますが、映画ライターの話では、過去10年の福田作品で10億円を割ったのは『聖☆おにいさん THE MOVIE』の7.8億円だけだったそうです。

ほぼ毎回、ヒットのラインは越えているわけです。

その一方で、2020年の『今日から俺は!!劇場版』や『新解釈・三國志』のような40〜50億円クラスの大当たりは、そこから出ていません。

『アンダーニンジャ』は初日から3日間で動員16万人・興収2億2600万円の3位スタートでした。

その後、フジテレビのスポンサー離れでCM枠が空いた時期に同作のCMが繰り返し流れ、動員が増えたのではという見方も出ていたそうです。

最終的には15.9億円ほどで、豪華キャストのわりには伸び切らなかったとも報じられています。

『新解釈・幕末伝』は10億円・73万人を突破し、福田さんの出身地・小山市で凱旋の舞台あいさつも行われました。

ただ、東洋経済の分析では、近年の福田作品は興収に波があり、一般層にウケる作品とそうでない作品でタイプが分かれてきている、と指摘されています。

流れを変えたのが、2026年4月29日公開の『SAKAMOTO DAYS』でした。

Snow Manの目黒蓮さんが主演を務め、初日だけで興収4億円超え。

公開26日間で興行収入24億円、観客動員173万人を突破しました。

面白いのは、福田組の常連であるムロツヨシさん、佐藤二朗さんの出演が、公開後になってから明かされたことです。

宣伝の段階では、いつもの福田色をあえて前に出さなかったんですよね。

一部の週刊誌は「『福田節』封印が奏功」という見出しで報じていました。

ただしレビューは割れていて、Yahoo!の映画レビューでは星5が55%と半数を超える一方、次に多いのが星1の27%だったと映画関係者が語っています。

ここまでの数字を見て、私の中で福田さんのイメージがはっきりしました。

福田さんは、ホームランを量産する4番バッターではないんです。

毎回きっちり塁に出る、打率の高いバッター。

大当たりは減ったけれど大ケガもしない。

業界から見ると、福田さんは「保険がきく監督」として扱われているのではないかと私は見ています。

ケロロ軍曹で大炎上しても福田雄一の仕事が減らない現実

「数字は出ている」とはいえ、2026年の『ケロロ軍曹』はさすがに大きな騒動になりました。

それでも福田さんの仕事が止まらない、というのがこの記事のいちばんのポイントなんです。

舞台挨拶中止に公式謝罪まで起きた新劇場版の騒動

『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』は、2026年6月26日に公開されました。

アニメ20周年記念プロジェクトの一環で、劇場版としては16年ぶりの新作です。

脚本・総監督が福田さん、監督は追崎史敏さん。

福田さんにとっては初めてのアニメーション作品でした。

発表の時点から、ネットでは不安の声が出ていたそうです。

公開されると、作中に福田さんの過去作『勇者ヨシヒコ』『HK 変態仮面』『銀魂』のキャラクターが登場し、その3作のキャスト12名が声優として参加していたことが話題になりました。

ケロロ小隊の物語を楽しみにしていたファンからすると、「なんで福田作品のキャラが出てくるの?」となりますよね。

ほかにも、ケロロとは関係の薄い人気作品のパロディが多い点に批判が集まったようです。

さらに深刻だったのが、権利関係のトラブルです。

公開日の前日、製作に参加したバンダイナムコフィルムワークスとアニメ制作のバンダイナムコピクチャーズが、連名で謝罪文を出しました。

他作品を思わせる演出の一部が権利者の意向に反していて、特に『進撃の巨人』については、事前に権利者からはっきり意思表示があったのに、社内の深刻な伝達不備で制作が進んでしまった、という内容です。

謝罪文では、原因はあくまで会社側の伝達ミスだと説明されていました。

テレビ東京も7月2日の定例会見で、製作委員会の一員としてこの事態を重く受け止めていると謝罪しています。

7月2日にTOHOシネマズ日比谷で予定されていた公開記念舞台あいさつは、前日になって「諸般の事情」で中止が発表され、チケットは払い戻しになりました。

ほかにも、『銀魂』の主人公として声の出演をした小栗旬さんのコメントが、「しぶしぶやりました」といった内容だったためファンの反感を買った、と報じられています。

ただ、福田組の中では照れ隠しのジョークでよくあるノリなので、文脈ごと切り取られてしまった面もあるのでは、と私は感じました。

一部のファンからは、公開中止と再制作を求める署名運動まで起きたそうです。

興味深いのは、福田さん自身がこうなることをある程度予想していたらしい点です。

パンフレットのインタビューでは、自身の過去作キャラを集める演出が「私物化」と批判されることを心配し、プロデューサーに相談したうえでGOが出た、と語っていたと伝えられています。

この作品には、もうひとつ特別な事情がありました。

2026年秋放送の新作テレビアニメ『ケロロ軍曹☆』からはキャストが一新されるため、この劇場版は長年ケロロ小隊を演じてきたオリジナルキャストがそろう最後の作品だったんです。

16年ぶりの新作で、しかも慣れ親しんだ声で聞ける最後の一本。

……ファンが求めていたものを想像すると、ちょっと胸がきゅっとなりませんか?

私は、ファンが見たかったのはパロディの多さではなく、「いつものケロロ小隊の、いつもの声」だったんだと思っています。

炎上後も福田雄一監督の新作発表が止まらない

ここからが本題です。

これだけ批判が出たのに、少なくとも初動の数字は悪くありませんでした。

公開3日間で動員10万2402人、興行収入1億5080万6480円で、初登場4位。

その後の最終的な興行収入は、公式には発表されていないようです。

初動の勢いが最後まで続いたのか、炎上で失速したのかは、正直なところ分かりません。

そして炎上から約4か月後の2026年11月4日、人気漫画『マッシュル』の実写映画化が発表されました。

翌5日には、主演が前田真剣佑さん、監督が福田さんだと明かされています。

公開は2027年3月19日、配給は東宝とワーナー・ブラザース映画です。

前田さんはオファーから撮影まで、約3年かけて体を作り込んだそうです。

さらにその翌日、11月6日には、橋本環奈さん主演・福田さん脚本監督のHuluオリジナルドラマ『あたしゃ川尻こだまだよ』も発表されました。

2027年1月11日から配信が始まり、日本テレビ系『ZIP!』の中でも朝ドラマとして放送される、1話3分のショートドラマです。

それにしても、また日本テレビなんですよね。

『スーパーサラリーマン左江内氏』に『今日から俺は!!』、『親バカ青春白書』と、福田さんが手がけてきた話題のドラマには日本テレビ系の作品が多いんです。

ついに朝の情報番組にまで福田節を流すとは。

日テレさん、ほんまに福田さんの笑いが好きやな〜と、発表を見て思わずつぶやいてしまいました。

炎上のあとでも変わらず声がかかるあたり、長い付き合いで積み上げてきた信頼の厚さを感じます。

炎上から4か月で、新作2本。

普通の感覚なら「しばらく謹慎かな」となりそうなところです。

私はこの流れを、「炎上しても初動の数字は出た」という結果が、皮肉にも福田さんを「話題になる監督」として評価させ、次の起用を後押ししている構図だと見ています。

叩かれるほど名前が広まり、名前が広まるほど数字が読める。

なかなかに強いサイクルなんですよね。

では、作る側はどんな理由で福田さんを選んでいるのか。

次の見出しで、5つの理由に分けて掘り下げます。

福田雄一作品がつまらないのになぜ起用される?それでも人気な5つの理由

ここでは、作品を「見る側」ではなく「発注する側」の目線に立って考えてみます。

業界関係者のコメントと、これまでの数字や現場の証言を重ねると、5つの理由が見えてきました。

【理由1】福田雄一作品は興行収入の「底」が読めるから出資者が安心できる

映画は、たくさんの会社がお金を出し合う「製作委員会」という仕組みで作られることが多いです。

出資する側がいちばん怖いのは、作品の出来が悪いことよりも、お金がまったく返ってこないことなんですよね。

日刊ゲンダイが紹介した映画業界関係者の話によると、福田さんは実績と知名度があり、完成した作品の雰囲気も想像しやすいので、出資者が安心して企画が通りやすいそうです。

さっきの表を思い出してください。

40億円クラスの大当たりは減ったけれど、10億円を大きく割り込むこともほとんどない。

出資する側からすると、「最低これくらいは返ってくる」という底が見える監督は、ものすごくありがたい存在なんです。

まったく新しい才能に賭けるのは夢がありますが、外れたときのダメージも大きい。

福田さんなら、大化けはしなくても、計算が立つ。

原作ファンの満足度より「損をしないこと」が優先される場面では、この安心感が何よりの武器になっているのだと思います。

【理由2】「福田雄一監督作品」の看板だけでニュースになる

2つ目は、名前そのものが宣伝になることです。

同じ関係者の話では、「福田雄一監督作品」という触れ込みがあるとメディアが取り上げやすく、原作者や出版社にとっても有名監督の名前が商業的な箔になる、とのことでした。

実際、新作が発表されるたびに、ニュースの見出しには「『銀魂』の福田雄一」「『今日から俺は!!』の福田雄一」といった枕詞がつきます。

『マッシュル』の発表でも、福田さんは『SAKAMOTO DAYS』を大ヒットに導いたヒットメーカーとして紹介されていました。

さらに関係者は、皮肉なことに炎上そのものが注目を集める面もある、とも話しています。

好意的な記事でも批判的な記事でも、とにかく名前が出る。

監督の名前で記事が1本書けるというのは、宣伝費に換算するとかなりの金額になるはずです。

かく言うこの記事も、その「福田雄一」という名前に引き寄せられて書いているわけで。

……私も、まんまと看板の効果に乗っかっている一人なんですよね。

【理由3】売れっ子俳優が出たがる福田組の現場とキャスティングの目利き

3つ目は、人気俳優が集まりやすいことです。

これは出資者にとって、そのまま集客力になります。

福田組の常連であるムロツヨシさんは、イベントで「福田組の絶対ルールはピリつかないこと」と話していました。

ピリッと緊張した現場を福田さんは好まず、アクションなど任せるところは思い切って任せる。

任された側は「やるしかない」と責任感が生まれる、という話です。

ムロさんは別のインタビューでも、福田さんは現場で役者が出すアイデアを信用して、何が生まれるか待ってくれる人だ、と語っています。

役者にとっては、こんなにのびのびできる現場はなかなかないんだと思います。

福田さんのもうひとつの強みが、俳優を「見つける」目です。

本人いわく、演技を見て「この人いいな」と思うことはほとんどなく、素の姿に惹かれることが多いそうです。

賀来賢人さんはミュージカルのカーテンコールで隣のムロさんより輝いて見え、ムロさんは焼き肉を一緒に食べに行ったときに「面白い人だな」と感じたんだとか。

堂本剛さん、山田孝之さん、柳楽優弥さんといった二枚目俳優から、はっちゃけた演技を引き出してきたのも福田さんでした。

ある集計では、福田作品へのレギュラー出演回数はムロさんが30回で1位だそうです。

一度参加した俳優が、何度も戻ってくるんですよね。

この「人が集まる力」は、見る側の人気にも直結しています。

ふだんはクールな役が多い俳優さんが、福田作品では顔をぐしゃぐしゃにしてふざけている。

推しのそんな姿を見られるのは、ファンにとってはごちそうなんです。

目黒蓮さん、前田真剣佑さん、橋本環奈さんと、話題の俳優が次々と福田作品に主演していくのも、この流れの延長にあるのだと思います。

【理由4】ギャグ漫画の実写化という難題を引き受けられる監督が少ない

4つ目は、ほかに引き受けられる人が少ないことです。

漫画の実写化はただでさえ難しいのに、ギャグ要素の強い作品となると、さらにハードルが上がります。

漫画のコマ割りや「間」で成立していた笑いを、生身の人間がやると、かなりの確率でスベってしまうんですよね。

福田さん自身、2017年の『斉木楠雄のΨ難』のイベントで「ギャグ映画は日本でヒットしづらい」と話していました。

そのうえで、こういう作品がヒットすれば自分たちの生きていく道ができる、とも語っています。

SNSでも、実写のギャグ描写はたいていつまらないので、ギャグが強い作品は福田さんに頼むことになる上層部の気持ちも分かる、という趣旨の声を見かけました。

辛口なのに、なぜか納得してしまう意見です。

それに、福田さんは毎回同じことをしているわけではありません。

『アンダーニンジャ』ではパロディを抑えるなど、作品に合わせて調整していると分析されています。

『SAKAMOTO DAYS』では宣伝で福田色を控えめにしたことが、プラスに働いたとも報じられました。

関係者が言うように、原作と実写のズレはどんなに気をつけても起こる問題です。

どうせズレるなら、笑いで押し切れる人に任せたい。

誰もやりたがらない難しい仕事に、毎回手を挙げてくれる人がいる。

作る側にとって、これほど頼もしいことはないはずです。

【理由5】脚本から現場まで一人で回せる福田雄一の使い勝手の良さ

5つ目は、ずばり「使い勝手」です。

私がこの記事を書こうと思ったいちばんの疑問も、実はここでした。

福田さんの作品は、ほとんどが脚本も監督も福田さん自身です。

脚本家と監督が別々だと、打ち合わせも修正も2倍になりますが、福田さんなら窓口はひとつで済みます。

しかもその仕事量が、とにかく多いんです。

脚本を書く、監督もする、そして2025年は「1日も休まない」と宣言する(休まへんのかい!)。

本当に2025年の年明けのイベントで、今年の目標を「1日も休まないこと」と話していたそうです。

『新解釈・幕末伝』は監督としての劇場公開20作目。

そこに連続ドラマ、配信ドラマ、舞台、そして今回のアニメ映画や3分のショートドラマまで加わります。

映画もドラマもアニメも短尺も、ジャンルを問わずに一定のクオリティで納品してくれる。

ムロさんたちの証言からも分かるように、常連の俳優陣ごと動けるので、キャスティングの手間もぐっと減るはずです。

私は、企画会議で「福田さんなら、興収10億と話題性は計算できる」という一言が決め手になっているのではないかと見ています。

その計算式の中に、原作ファンの満足度はほとんど入っていない。

だからこそ「つまらない」と言われながら、起用は途切れないのだと思います。

福田組の内輪ノリはなぜ寒い?笑いを堪えて後ろを向くあの演出の正体

起用される理由が分かったところで、もうひとつの大きな疑問に進みます。

福田作品の「内輪ノリ」が、どうしてあんなにむず痒く感じるのかという話です。

正直に告白すると、私もあのノリでむず痒くなったことがあります。

延々とアドリブが続いて、相手役の俳優さんが笑いを堪えきれず、ふっと顔を背ける。

場合によっては後ろを向いて肩を震わせている。

現場はたぶん大爆笑なんでしょうけど、画面のこっち側の私は、なぜかソファの上で正座したくなるんですよね。

ムロツヨシ・佐藤二朗・賀来賢人のアドリブ合戦が生まれる仕組み

福田組のアドリブ合戦の中心にいるのは、ムロツヨシさん、佐藤二朗さん、賀来賢人さんたち常連組です。

佐藤さんの出演シーンに限っては、テストなしでいきなり本番に入るとも言われています。

リハーサルで手の内を見ていない分、相手役は本番で初めて佐藤さんの言葉を浴びることも多いのではないでしょうか。

それは笑ってしまいますよね。

ただ、ここで強調したいのは、笑いを堪えきれなくなるのは常連の3人だけではないということです。

むしろ、巻き込まれる側の若手やゲストのほうがクスクス笑ってしまうパターンが多いんですよ。

山崎賢人さんは『斉木楠雄のΨ難』のイベントで、ムロさんのシーンではほぼ笑っていて、使えなくなった部分をもう一度撮り直したと明かしていました。

橋本環奈さんは『今日から俺は!!劇場版』の撮影で、自分の笑い声のせいでNGになり、それ以来スタッフにマークされていると話しています。

城田優さんも、こんなにアドリブをやったのは初めてだと語っていました。

さらに言えば、いちばん笑っているのは福田さん本人かもしれません。

監督の大きな笑い声が原因で撮り直しになることもあるそうで、久しぶりに福田組に参加した木南晴夏さんも、初日から福田さんの笑い声が響き渡っていたと振り返っています。

監督が率先して爆笑している現場、ほぼ部活か。

賀来さんについての記事でも、福田組では仲のいい大人たちが”遊び”も交えながら撮影するのが恒例だ、と紹介されていました。

つまり、あの「笑いを堪えて後ろを向く」瞬間は、演出の失敗ではなく、福田組という場所がうまく回っている証拠でもあるんです。

現場の楽しさがそのまま映ると観客が置いていかれる

では、なぜそれが「寒い」と感じられてしまうのか。

これは、職場の飲み会で、自分以外の全員が知っている昔話で盛り上がっているときの居心地の悪さに似ています。

みんなが「あのときの課長がさ!」と涙を流して笑っている横で、自分だけ枝豆をひたすらむいている、あの感じ。

楽しそうなのは伝わるのに、笑いの輪に入れないんですよね。

ここでヒントになるのが、福田さん自身の言葉です。

福田さんは、自分のコメディの本質は「バラエティー」だと表現しています。

バラエティ番組では、出演者が素で吹き出してしまう瞬間は、むしろご褒美なんです。

台本では作れない「本物の笑い」として、視聴者も一緒に楽しめます。

ところが映画やドラマは、本来「この世界は本物です」という約束の上で見るもの。

そこで役者が素に戻って笑ってしまうと、物語の世界から急に現実の撮影現場に引き戻されてしまいます。

観客からすると、楽屋をのぞかされているような感覚になるんです。

「福田組疲れ」の分析でも、福田作品をあまり観ていない人には内輪ネタに映りうる、と指摘されていました。

実際、2024年の『聖☆おにいさん THE MOVIE』では、身内がいちばん楽しめる慰安旅行のような作品だ、大学の学園祭の実行委員のノリを見せられている、といった辛口の口コミが目立ったと報じられています。

どちらも「作っている側は楽しそう」という点だけは認めているのが、なんとも切ないところなんですよね。

私は、深夜ドラマなら許せたノリが映画だと寒く感じる理由は、笑いの質が落ちたからだけではないと思っています。

払った値段と、見ている場所が変わったんです。

深夜にタダで見る30分なら、楽屋のぞきも「得した気分」で済みます。

でも映画館で2000円近く払って2時間座っていると、「私はこの人たちの打ち上げを見に来たんやったっけ?」と我に返ってしまう。

同じノリでも、器が変わると味が変わる。

福田さんの笑いが「寒い」と言われるようになったのは、深夜のバラエティ的な笑いが、映画という大きな器に移ったことのズレが大きいのではないでしょうか。

ただ、ここがいちばんややこしいところなんです。

この「内輪ノリ」や、笑いを堪えきれなかった場面までそのまま使う作り方こそが、いわゆる「福田節」の正体なんですよね。

ファンにとっては、ここがたまらなく好きなポイントです。

役者さんが素で崩れる瞬間を見たくて、福田作品を選んでいる人もたくさんいます。

ところが、ファンではない人やアンチの人にとっては、まったく同じ場面が「寒すぎて見ていられない」ポイントになる。

作品の売りにしている部分に対して、見る人によって真逆の反応が返ってくるんです。

好きな人は「ここが最高」と言い、苦手な人は「ここが最悪」と言う。

指さしている場所は、まったく同じ。

普通の商品なら、苦手な人が多い部分は少しずつ削って、万人向けに整えていきますよね。

でも福田作品の場合、その苦手な部分こそが看板なので、削れば削るほど「福田さんが撮る意味」が薄れていきます。

かといって全部取り除いてしまったら、今度はファンが黙っていないはずです。

「それなら福田さんじゃなくてええやん」と。

寒いと言われる部分を消せば、好きだと言ってくれる人まで離れていく。

福田節は、そういう抜き差しならない笑いなんだと思います。

マッシュルで福田雄一はどう出る?これからの起用と評価を予想

最後に、これからの福田さんについて予想してみます。

カギになるのは、2027年3月公開の実写『マッシュル』です。

『マッシュル』は、魔法がすべての世界で、魔法が使えない少年が鍛え上げた筋肉だけで戦っていく物語です。

制作プロダクションは、『SAKAMOTO DAYS』と同じCREDEUSが担当します。

ここまでの流れを踏まえると、私は『マッシュル』も『SAKAMOTO DAYS』寄りの「福田節は控えめ」路線になるのではないかと予想しています。

ケロロでの反省もありますし、『SAKAMOTO DAYS』で「福田色を出しすぎない」ことが数字につながった成功体験があるからです。

ただ、正直に言うと、私はここに福田さんのいちばん難しい課題があると思っています。

それは、「ちょうどいい中間」を出すのがとても難しい、ということです。

『ケロロ軍曹』では福田カラーを全開にして、原作ファンから強い反発を受けました。

逆に『SAKAMOTO DAYS』では宣伝で福田色を伏せたのに、それでもレビューは星5と星1に大きく割れています。

全開にすれば燃えて、抑えても評価は真っ二つ。

前の見出しで書いたように、福田節は少しでも入っていれば苦手な人には「出た」と気づかれますし、薄めすぎればファンには「物足りない」と感じられてしまいます。

しかも福田さんは、ここまで長いあいだ福田カラーを濃く、はっきりと打ち出してきました。

だからこそ、見る側の目もすっかり敏感になっているんですよね。

ほんのひとさじ混ぜただけでも、すぐに見つかってしまう。

私は、福田さんはもう「ちょうどいい中間」を表現できないところまで来てしまっているのではないかと見ています。

それは腕が落ちたからではなく、「福田雄一」という看板が強くなりすぎたからです。

ブランドとして成功しすぎた結果、0か100かでしか受け取ってもらえなくなった、と言ったほうが近いのかもしれません。

それでも希望があるとすれば、『マッシュル』はもともと原作自体がかなりギャグ寄りの作品だという点です。

真顔でとんでもないことをする主人公の「シュールさ」は、福田さんの笑いと相性がいいはずなんですよね。

原作のギャグの中に福田節を溶かし込めれば、「監督の笑い」ではなく「原作の笑い」として受け取ってもらえるかもしれません。

そうなれば、『SAKAMOTO DAYS』以上に福田節と原作がかみ合う可能性もあると思います。

そして気になるのが、福田組の常連が出るのかどうか。

『SAKAMOTO DAYS』では、ムロさんと佐藤さんの出演が公開後まで伏せられていました。

この前例があるので、『マッシュル』でも「実は出ていました」パターンになるのではないかと見ています。

勝手に配役させてもらうなら、ムロツヨシさんと佐藤二朗さんは、主人公が通う魔法学校の先生役あたりが濃厚ではないでしょうか。

生徒そっちのけで2人の掛け合いが始まり、真剣佑さんが筋肉を震わせながら笑いを堪える。

……書いていて、もうその画が浮かんでしまいました。

もちろんこれは完全に私の予想で、公式には何も発表されていません。

もうひとつ注目したいのが、橋本環奈さん主演の『あたしゃ川尻こだまだよ』です。

1話3分、朝の情報番組の中で流れるショートドラマというのは、実は福田さんの笑いがいちばん生きる器かもしれません。

さっき書いたように、福田さんの笑いはもともとバラエティの笑いです。

短くて、気軽に見られて、お金もかからない場所なら、内輪ノリも「クスッと笑える朝の一服」として受け取ってもらいやすいはずです。

中間が難しいのなら、濃さを細かく調整するより、器ごと選び分けるほうが現実的です。

私は、福田さんの評価がこれから持ち直すかどうかは、「福田節が全開でも喜ばれる器」と「福田節を思い切って引っ込める器」をはっきり分けられるかにかかっていると思っています。

\エンタメ記事はこちらから⬇︎/

▶︎ 芸能人やCMなど気になるエンタメ記事をチェック

まとめ

福田雄一さんの作品が「つまらない」と言われながら起用され続ける理由を、数字と現場の証言から掘り下げてきました。

最後に、この記事で分かったことを整理しておきますね。

  • 「つまらない」の中身は、ギャグのマンネリと、原作の「私物化」に見えることへの反発が中心
  • レビュー点数は低くても、興行収入はほぼ毎回ヒットの目安とされる10億円前後を確保している
  • 40〜50億円クラスの大当たりは減ったが、大コケもしない「保険がきく監督」になっている
  • 『ケロロ軍曹』で大きな批判を浴びたあとも、『マッシュル』と新ドラマの監督が発表された
  • 起用される理由は、底が読める興収、名前の宣伝力、俳優が集まる現場、ギャグ実写の希少性、脚本から一人で回せる使い勝手
  • 内輪ノリが寒く感じるのは、バラエティの笑いが映画という大きな器に移ったことのズレが大きい
  • 福田節はファンには最大の魅力、苦手な人には最大の欠点で、ちょうどいい中間を出すのが難しい

調べてみて私がいちばん腑に落ちたのは、福田さんへの評価には「ものさし」が2本あるということでした。

ひとつは、観客の好き嫌いというものさし。

もうひとつは、作る側の「損をしないか」「話題になるか」というものさしです。

ネットの「つまらない」は1本目のものさしの話で、起用が止まらないのは2本目のものさしの話。

だから、この2つは矛盾しているようで、実はまったく別の場所で同時に成り立っているんですよね。

そう考えると、「なんでこの人ばっかり?」というモヤモヤも、少しだけ整理がつく気がします。

ただ、1本目のものさしのほうには、簡単に解けない問題が残っています。

福田節は、「たまらなく好き」と「寒すぎて無理」が同じ場所から生まれる笑いです。

消せばファンが離れ、出せばアンチが燃える。

福田カラーを濃く出し続けてきたぶん、そのあいだの「ほどよい福田節」を見つけるのは、もうかなり難しいところまで来ているのだと思います。

福田さん自身は、インタビューで「人は笑うことでしか幸せになれない」と思って作品を作ってきたと語っていました。

その笑いが、次はどんな器に盛られて出てくるのか。

『マッシュル』の公開を、ちょっと意地悪な気持ちと、ちょっと期待する気持ちの半分ずつで待ちたいと思います。

コメント