毎年夏になると、SNSで必ずといっていいほど飛び交う話題があります。
「24時間テレビのマラソン、やらせじゃないの?」
車移動でワープした、走ってない区間がある、放送終了時間に合わせて時間調整している……という噂、あなたも一度は耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。
私もずっとモヤモヤしたまま観ていたんですよね(笑)。
感動のゴールシーンを見ながら「でも本当に走ってるの?」って心のどこかで思ってしまう。
そのモヤモヤを一度ちゃんと調べてみようと思い立ちました。
結論から言うと、「やらせ」と断定できる証拠はありません。
ただ、なぜ疑惑が生まれたのか、噂の一つひとつに何があったのか、2024年・2025年の最新マラソンまで含めて追いかけてみました。
24時間テレビマラソンがやらせと言われる理由は?
そもそも、なぜこれほど「やらせ疑惑」が根強いのか。
きっかけは一つじゃなくて、長年にわたってさまざまな「おかしくない?」という声が積み重なってきた結果なんですよね。
大きくまとめると、こういう理由です。
- 番組終了ギリギリのタイミングでゴールする年が多い
- テロップの走行距離表示が急に大きく動いて見えたことがあった
- ビートたけしさんが「車で移動した」と発言した(後述しますが冗談でした)
- SNSで追跡した人の数値と公式発表の距離が合わないという声が広まったことがあった
どれも「確証がある」わけではないんですが、積み重なるとそう見えてくるというか。
SNSが普及してから疑惑の声がさらに増えた印象で、2010年代以降は「やらせ疑惑」がトレンドワードに入るくらい話題になっていますよね。
車移動でワープしたって本当?噂の真相を調べてみた
「車で移動した」という噂、調べていくと発端がはっきりしていて、そこがまた面白かったんです。
ひとつひとつ見ていきますね。
発端はビートたけしのダチョウ倶楽部「車移動」発言
車移動疑惑の大元は、ビートたけしさんが「ダチョウ倶楽部がマラソン中に車を使って移動していた」と発言したことなんです。
これが当時の新聞にも取り上げられて、一気に「やらせ疑惑」として広まりました。
ところがこれ、たけしさん本人は「冗談のつもりだった」という話で。
実際に車で移動した証拠は一切見つかっていませんし、ダチョウ倶楽部側もとばっちりを受ける形になってしまったわけです。
冗談が新聞に載って一人歩きしたというパターンで、「インターネット以前にもデマは広がるんだな」とちょっと複雑な気持ちになりました(汗)。
西村知美のワープ事件はなぜ生まれたのか
もう一つの大きな疑惑が、2002年の西村知美さんによる通称「ワープ事件」です。
放送中、テロップで表示される走行距離が1時間で約20km進んだと見えた、というのが発端でした。
残り3時間で30km残っていた状況から、1時間後の中継では残り10kmに。
ハーフマラソンの女子世界記録とほぼ同等のペースということで、「車で移動したんじゃないか」という声が爆発的に広まりました。
ところが公式の説明では「表示ミス」だったとのこと。
このワープ事件をきっかけに、視聴者側が自発的にランナーを追跡しようとする動きが一気に広がっていくことになります。
やらせの証拠とされた噂はどこまで本当だった?
ここからが本題と言えるかもしれません。
「これはやらせだ!」とSNSで拡散された疑惑が、後に誤りだったと判明したケースがかなり多いんです。
はるな愛の走行距離”水増し”はデマだった
2010年のはるな愛さんのマラソン(目標距離85km)では、追跡していた人の計測をもとに「実際は62.9kmしか走っていない」という情報がSNSで広まりました。
しかしその後、追跡していた人が武道館に入る手前で追跡を終えていたことが判明。
武道館入り後に走った距離を足すと、ちゃんと85km走っていたことが確認されたんです。
デマが先に広まって、訂正情報はあまり知られていない。
これ、インターネットの情報拡散のいちばん怖いところですよね。
北斗晶ファミリーや徳光和夫の疑惑もガセだった
2012年の北斗晶さんファミリーのマラソンでも、残り距離を示すテロップが急に減ったように見えて「ワープした!」という声が上がりました。
こちらは「テロップのミス」という説明がなされていて、実際には予定通り120kmを家族で完走しています。
当時もそうですが、生放送中にテロップ管理を完璧にやるって、実はめちゃくちゃ難しいことで。
「表示がおかしかった」と「実際の走行がおかしかった」はまた別の話なんですよね。
走ってないの噂を覆した「追跡班」の存在がすごい
これが私が調べていて一番面白かったポイントです。
24時間テレビのマラソンには、「追跡班」と呼ばれる有志の一般市民によるチームが毎年結成されていて、ランナーの位置をリアルタイムで監視・記録しているんです。
その分業体制が想像以上に本格的で。
- スタート地点特定班(2〜3人)
- 自動車追跡班(2人)
- 自転車追跡班(5人)
- バイク追跡班(1〜2人)
- 自走追跡班(1人)
- 動画撮影担当
- 地図作成班
……テレビ局のスタッフか!(笑)
この追跡班が計測した結果として確認できた例を挙げると、2017年のブルゾンちえみさんのマラソンでは実際の走行距離が91.45kmと計測されており、公式設定距離の90kmを上回っていました。
2023年のヒロミさんのケースでも追跡距離が102.80kmと計測されています。
「公式より長く走っていた」ということは、少なくとも「こっそり短くした」ではないですよね。
また、追跡班の存在そのものが「現代では車移動はほぼ不可能」という状況を作り出しています。
2014年の城島茂さんのマラソンでは、SNSでランナーの位置情報が拡散されて「城島渋滞」と呼ばれるほど沿道に人が集まったんです。
これだけ密に監視されていたら、さすがに車に乗ったら一瞬でバレますよね(笑)。
放送ギリギリのゴールに余裕?時間調整は本当にあるのか
やらせ疑惑のなかで「一番グレーゾーンだな」と感じたのが、この「ゴールタイミング問題」です。
確かに毎年、番組終了直前に「サライ」が流れるタイミングでゴールしていますよね。
ランナーが違う、距離も違う、体力も違う。
なのに毎回ほぼ同じ時間帯にゴールするのは、さすがに偶然とは言いにくい部分があります。
ただ、これが「やらせ」かというと、私はちょっと違う捉え方をしています。
終盤に向けてペース配分をコントロールしたり、残り距離によって走るか歩くかを調整したりするのは、安全面の配慮や放送進行の管理として必要な判断であって、「走ってないのに走ったふりをする」こととは全然別の話です。
安全確保と放送進行を両立させるための「運用上の調整」と、視聴者をだますための「やらせ」は、分けて考えた方がフェアだと思うんですよね。
もちろん「そこに違和感を感じる」という気持ちも理解できます。
ただ完全な意味でのやらせ(=走ってないのに走ったと嘘をつく)とは、性質が異なるものだと私は感じています。
やす子や横山裕のマラソンにも疑惑の声が上がった
ここは正直、最新情報としてかなり気になっていたパートです。
特に調べていてザワっとしたのが、2024年のやす子さんのケース。
2024年やす子のマラソンにYouTuberが疑問を呈した
「24時間テレビ47」(2024年)では、やす子さんがランナーを務めました。
台風10号の影響で日産スタジアムの400mトラックを75周(約30km)してから、翌日早朝に両国国技館へ向けて出発するという変則的なコースになり、最終的な走行距離は約81kmに達しました。
やす子さんが日産スタジアムを出発したのが午前6時半ごろ、ゴールしたのが午後8時41分ごろ。
約14時間かかったわけですが、チャンネル登録者50万人超えのYouTuber「三納物語」さんが「自分で歩いたら徒歩9時間の距離だった」と検証動画を公開。
「じゃあランナーの14時間はおかしくない?」という疑惑が広まりました。
ただこれについては、「やす子さんが走ったのは実際には距離の長い別ルートだった可能性もある」「左足首の負傷や休憩・メディカルチェックも含まれる」という解説も出ています。
番組側への取材申し込みに日本テレビは回答せず、スッキリしない状況ではありました。
ただ、最終的な寄付金総額は歴代2位となる15億8,955万円超が集まっており、そのうちやす子さんのマラソン児童養護施設募金だけで5億493万円超が集まっています。
走り切ったことへの社会的な評価は、数字が示していると思います。
2025年横山裕は105kmを走り切った
「24時間テレビ48」(2025年)は「SUPER EIGHT」の横山裕さんがランナーを務め、8月30〜31日の放送で105kmを完走しました。
横山さんは、2人の弟が経済的な事情から一時的に児童養護施設で過ごした経験を持つ人物。
その思いを背景に「マラソン子ども支援募金」を設置し、寄付金は全額、支援を必要とする子どもたちに充てられました。
番組終了時点での募金総額は7億40万8,600円に達しています。
追跡班の情報によれば走行ルートのペース管理も細かく確認されており、不正を示す記録は見つかっていません。
ゴール後、横山さんが天を見上げて「おかん。今、見てんのか?俺、やったぞ!マジでやったぞ!」と亡きお母さんに語りかけた場面は、多くの視聴者が涙したとSNSでも大きく話題になりました。
やらせ批判の裏で、マラソンに力をもらっている人もいる
ここまでやらせ疑惑の検証をしてきましたが、最後に私が一番書きたかったことを書かせてください。
やらせかどうかを疑う気持ちはわかります。
でも調べていく中で気づいたのは、このマラソンから力をもらっている人が確実に存在するということです。
2024年のやす子さんのマラソンでは、やす子さん自身が高校時代に児童養護施設で過ごした経験を持つことが広く知られるきっかけになりました。
寄付金は実際に全国606の児童養護施設へ4,922点の贈呈品として届けられています。
2025年の横山裕さんの場合は、番組にアンチ的な目を向けていた人が「横山さんのVTRがあまりにグッときたので募金した」とXに投稿したほどでした。
当事者の言葉と経験が乗った走りは、批判的な目を持つ人の心すら動かすことがある。
近年は「チャリティーマラソンをやる意味」だけでなく「その人が走る意味」がより問われるようになってきました。
やす子さん、横山裕さんと続けて「当事者が走る」という形になっているのも、そういう批判を受けての変化だと思っています。
演出に頼った感動より、走る人自身の言葉と経験が届く感動の方が、視聴者の心に刺さる。
それが募金額という具体的な数字にも表れているんじゃないかと。
完全否定するのも、盲目的に信じるのも、どちらも違う気がするんですよね。
疑いながら観ながらも、ランナーが懸命に走る姿から何かをもらえたなら、それはやっぱり本物の感動なんじゃないかって、私は思っています。
まとめ
この記事で調べたことを最後にまとめますね。
- 車移動疑惑の発端はビートたけしさんの冗談と、西村知美さんのテロップ表示ミス(2002年)
- はるな愛さんや北斗晶さんの疑惑は、後の検証でデマと判明している
- 有志の「追跡班」が毎年ランナーを密に追跡しており、現代では車移動はほぼ不可能な環境
- ゴールタイミングの調整は「安全配慮と放送進行の運用」であり、走ってないことを隠す”やらせ”とは性質が異なる
- 2024年やす子さんのケースでYouTuberが検証動画を公開したが、日テレは回答せず、真相はグレーなまま
- 2025年横山裕さんは105kmを完走、マラソン募金は7億円超を達成した
- やらせ批判は続くが、マラソンをきっかけに力をもらっている人・支援が届いている現実も存在する
調べてみて感じたのは、「演出」と「やらせ」は似ているようで本質的に違う、ということです。
感動的に見せるための工夫はあると思います。
でも「走ってないのに走ったふりをしていた」という決定的な証拠は、30年以上の歴史の中で一度も出ていない。
やす子さんや横山裕さんが走ることで動いた何億円もの寄付が、実際に誰かの生活を支えていることは事実です。
全部信じなくていい、でも全部疑わなくてもいい。
そのくらいの距離感で眺めるのが、24時間テレビのマラソンとのちょうどいい付き合い方かもしれないな、と私は思っています。


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